本日は、テクニカル分析の超定番、グランビルの8法則についてご紹介します。
■グランビルの法則(Granville's law)とは
グランビルの法則とは、移動平均線を考案した米国ウォール街の株式アナリスト、 ジョセフ・グランビル(Joseph E. Granville)が1960年代に発見した、株価と移動平均線の位置関係から導き出した経験則の総称です。
この法則は「買いサイン」4つ、「売りサイン」4つ、合計8つの基本法則から構成されます。
■買いサイン 4パターン
※以下、移動平均線をMA(Moving Average)と表記します。
【1】下降していたMAが、上向き、あるいは横ばいとなった時に、株価の終値がその平均線を大きく上抜けした時。 (トレンドフォロー)
【2】MAが上向きの時に、株価がMAを割って下落したが、再びMAを突き抜けて反発、 終値がMAを上回って引けたら買い。(トレンドフォロー、押し目買い)
【3】終値がMAを上回って推移しており、MAに近づく下落を見せたが、結局平均線を下抜かずに上昇(終値で判断) した時。(トレンドフォロー、典型的な押し目買い)
【4】MAが下降を続けている時に暴落し、MAから大きく下方乖離した場合、MAに向かって反発の可能性がある。 (平均回帰狙いの逆張り、リスク大)
■売りサイン 4パターン
【5】上昇していたMAが、下向き、あるいは横ばいとなった時に、株価の終値がその平均線を大きく下抜けした時。 (トレンドフォロー)
【6】MAが下向きの時に、株価がMAを破って上昇したが、再びMAを下抜けて下落、 終値がMAを下回って引けたら売り。(トレンドフォロー、戻り売り)
【7】終値がMAを下回って推移しており、MAに近づく上昇を見せたが、結局MAを上抜かずに下落(終値で判断) した時。(トレンドフォロー、典型的な戻り売り)
【8】MAが上昇を続けている時に暴騰し、MAから大きく上方乖離した場合、MAに向かって反発の可能性がある。 (平均回帰狙いの逆張り、リスク大)
■で、MAはどれを使えばいいの?
このグランビルの法則を使って実際にトレードをする際に問題になるのが、以下の2点です。
【1】どの種類のMAを使うのか
単純移動平均(SMA)
修正移動平均(RMA)
加重移動平均(WMA)
指数平滑移動平均(EMA)
【2】MAはどの期間を採用するのか
・フィボナッチ数 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89,
144, 233,....
・適当な数値 9,20,25,200,....
結論を言うと、答えはありません。
自分で色々と試行錯誤して探すしかありません。
ちなみにグランビル自身は、200日単純移動平均 を使用していたようです。
■実例
以下のチャートは (GFT DealBookFX2) を使用させていただきました。
ドル円 200週SMA、200週SMA乖離率
ドル円 89週SMA、89週SMA乖離率
ドル円 55週SMA、55週SMA乖離率
ユーロドル 200週SMA、200週SMA乖離率
ユーロドル 89週SMA、89週SMA乖離率
ユーロドル 55週SMA、55週SMA乖離率
ポンド円 200週SMA、200週SMA乖離率
ポンド円 89週SMA、89週SMA乖離率
ポンド円 55週SMA、55週SMA乖離率
■考察
【法則1,5 トレンド転換MAブレイクについて】
個人的には、8法則のうち1,5は実戦では使えないと思います。
どの程度までMAブレイクすれば買い/売りなのか、基準がよくわからないからです。
また、トレンド転換を見越しての売買なので、比較的リスクが大きいと言えると思います。
【法則2,3,6,7 トレンドフォローについて】
一方、押し目買いの2,3、戻り売りの6,7は、 移動平均線を目安に売買すれば良いので非常に実戦的で使えます。
実は、エルダー博士もこの手法を採用しているとのことです。
【法則4,8 逆張りについて】
逆張りの4,8は、成功すると非常に気持ちが良いのですが、トレンドに逆らった売買で危険です。
続伸、続落した場合は、損切りが絶対に必要です。
特に、ユーロ/ドルのようにトレンドの出やすいペアでは、失敗すると樹海行きとなります。
ポンド/円は過去、この移動平均乖離率を使った逆張り売買が有効で、実際私もこれで結構儲けさせていただきました。
しかし、2006年夏から史上空前の強気相場(円安バブル)となり、逆張りしたものの損切りしなかった場合は大変なことになりました。
法則4,8での逆張りは、成功率も高いのですが、万一失敗したときは損切りが必須ですのでご注意ください。
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