第一条
本法ニ於テ信託ト称スルハ財産権ノ移転其ノ他ノ処分ヲ為シ他人ヲシテ一定ノ目的ニ従ヒ財産ノ管理又ハ処分ヲ為サシムルヲ謂フ
第二条
信託ハ遺言ニ依リテ之ヲ為スコトヲ得
第三条
登記又ハ登録スヘキ財産権ニ付テハ信託ハ其ノ登記又ハ登録ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
○2有価証券ニ付テハ信託ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ証券ニ信託財産ナルコトヲ表示シ株券及社債券ニ付テハ尚株主名簿又ハ社債原簿ニ信託財産タル旨ヲ記載又ハ記録スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
○3株券ヲ発行セザル旨ノ定款ノ定アル会社ノ株式ニ付テハ信託ハ株主名簿ニ信託財産タル旨ヲ記載又ハ記録スルニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第四条
受託者ハ信託行為ノ定ムル所ニ従ヒ信託財産ノ管理又ハ処分ヲ為スコトヲ要ス
第五条
未成年者、成年被後見人、被保佐人及破産者ハ受託者ト為ルコトヲ得ス
第六条
信託ノ引受ハ営業トシテ之ヲ為ストキハ之ヲ商行為トス
第七条
信託行為ニ依リ受益者トシテ指定セラレタル者ハ当然信託ノ利益ヲ享受ス但シ信託行為ニ別段ノ定アルトキハ其ノ定ニ従フ
第八条
不特定ノ受益者又ハ未タ存在セサル受益者アル場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ信託管理人ヲ選任スルコトヲ得但シ信託行為ヲ以テ信託管理人ヲ指定シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
○2信託管理人ハ前項ノ受益者ノ為自己ノ名ヲ以テ信託ニ関スル裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○3裁判所ハ事情ニ依リ信託財産中ヨリ相当ノ報酬ヲ信託管理人ニ与フルコトヲ得
第九条
受託者ハ共同受益者ノ一人タル場合ヲ除クノ外何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託ノ利益ヲ享受スルコトヲ得ス
第十条
法令ニ依リ或財産権ヲ享有スルコトヲ得サル者ハ受益者トシテ其ノ権利ヲ有スルト同一ノ利益ヲ享受スルコトヲ得ス
第十一条
信託ハ訴訟行為ヲ為サシムルコトヲ主タル目的トシテ之ヲ為スコトヲ得ス
第十二条
債務者カ其ノ債権者ヲ害スルコトヲ知リテ信託ヲ為シタル場合ニ於テハ債権者ハ受託者カ善意ナルトキト雖民法第四百二十四条第一項ニ規定スル取消権ヲ行フコトヲ得
○2前項ノ規定ニ依リテ為シタル取消ハ受益者カ既ニ受ケタル利益ニ影響ヲ及ホサス但シ受益者ノ債権カ弁済期ニ到ラサルトキ又ハ受益者カ其ノ利益ヲ受ケタル当時債権者ヲ害スヘキ事実ヲ知リタルトキ若ハ重大ナル過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
第十三条
受託者ハ信託財産ノ占有ニ付委託者ノ占有ノ瑕疵ヲ承継ス
○2前項ノ規定ハ金銭其ノ他ノ物又ハ有価証券ノ給付ヲ目的トスル有価証券ニ付之ヲ準用ス
第十四条
信託財産ノ管理、処分、滅失、毀損其ノ他ノ事由ニ因リ受託者ノ得タル財産ハ信託財産ニ属ス
第十五条
信託財産ハ受託者ノ相続財産ニ属セス
第十六条
信託財産ニ付信託前ノ原因ニ因リテ生シタル権利又ハ信託事務ノ処理ニ付生シタル権利ニ基ク場合ヲ除クノ外信託財産ニ対シ強制執行、仮差押若ハ仮処分ヲ為シ又ハ之ヲ競売スルコトヲ得ス
○2前項ノ規定ニ反シテ為シタル強制執行、仮差押、仮処分又ハ競売ニ対シテハ委託者、其ノ相続人、受益者及受託者ハ異議ヲ主張スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十八条及民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十五条ノ規定ヲ準用ス
第十七条
信託財産ニ属スル債権ト信託財産ニ属セサル債務トハ相殺ヲ為スコトヲ得ス
第十八条
信託財産カ所有権以外ノ権利ナル場合ニ於テハ受託者カ其ノ目的タル財産ヲ取得スルモ其ノ権利ハ混同ニ因リテ消滅スルコトナシ
第十九条
受託者カ信託行為ニ因リ受益者ニ対シテ負担スル債務ニ付テハ信託財産ノ限度ニ於テノミ其ノ履行ノ責ニ任ス
第二十条
受託者ハ信託ノ本旨ニ従ヒ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ処理スルコトヲ要ス
第二十一条
信託財産ニ属スル金銭ノ管理方法ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条
受託者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託財産ヲ固有財産ト為シ又ハ之ニ付権利ヲ取得スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケ信託財産ヲ固有財産ト為スハ此ノ限ニ在ラス
○2前項ノ規定ハ受託者カ相続其ノ他包括名義ニ因リ信託財産ニ付権利ヲ承継スルコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ第十八条ノ規定ヲ準用ス
第二十三条
信託行為ノ当時予見スルコトヲ得サリシ特別ノ事情ニ因リ信託財産ノ管理方法カ受益者ノ利益ニ適セサルニ至リタルトキハ委託者、其ノ相続人、受益者又ハ受託者ハ其ノ変更ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○2前項ノ規定ハ裁判所ノ定メタル管理方法ニ付之ヲ準用ス
第二十四条
受託者数人アルトキハ信託財産ハ其ノ合有トス
○2前項ノ場合ニ於テ信託行為ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外信託事務ノ処理ハ受託者共同シテ之ヲ為スコトヲ要ス但シ其ノ一人ニ対シテ為シタル意思表示ハ他ノ受託者ニ対シテモ其ノ効力ヲ生ス
第二十五条
受託者数人アルトキハ信託行為ニ因リ受益者ニ対シテ負担スル債務ハ之ヲ連帯トス信託事務ノ処理ニ付負担スル債務亦同シ
第二十六条
受託者ハ信託行為ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ限リ他人ヲシテ自己ニ代リテ信託事務ヲ処理セシムルコトヲ得
○2前項ノ場合ニ於テハ受託者ハ選任及監督ニ付テノミ其ノ責ニ任ス信託行為ニ依リ他人ヲシテ信託事務ヲ処理セシメタルトキ亦同シ
○3受託者ニ代リテ信託事務ヲ処理スル者ハ受託者ト同一ノ責任ヲ負フ
第二十七条
受託者カ管理ノ失当ニ因リテ信託財産ニ損失ヲ生セシメタルトキ又ハ信託ノ本旨ニ反シテ信託財産ヲ処分シタルトキハ委託者、其ノ相続人、受益者及他ノ受託者ハ其ノ受託者ニ対シ損失ノ填補又ハ信託財産ノ復旧ヲ請求スルコトヲ得
第二十八条
信託財産ハ固有財産及他ノ信託財産ト分別シテ之ヲ管理スルコトヲ要ス但シ信託財産タル金銭ニ付テハ各別ニ其ノ計算ヲ明ニスルヲ以テ足ル
第二十九条
第二十七条ノ規定ハ受託者カ前条ノ規定ニ違反シテ信託財産ヲ管理シタル場合ニ之ヲ準用ス
○2前項ノ場合ニ於テ信託財産ニ損失ヲ生シタルトキハ受託者ハ分別シテ管理ヲ為シタル場合ニ於テモ損失ヲ生スヘカリシコトヲ証明スルニ非サレハ不可抗力ヲ理由トシテ其責ヲ免ルルコトヲ得ス
第三十条
信託財産ニ付附合、混和又ハ加工アリタル場合ニ於テハ各信託財産及固有財産ハ各別ノ所有者ニ属スルモノト看做シ民法第二百四十二条乃至第二百四十八条ノ規定ヲ適用ス
第三十一条
受託者カ信託ノ本旨ニ反シテ信託財産ヲ処分シタルトキハ受益者ハ相手方又ハ転得者ニ対シ其ノ処分ヲ取消スコトヲ得但シ信託ノ登記若ハ登録アリタルトキ又ハ登記若ハ登録スヘカラサル信託財産ニ付テハ相手方及転得者ニ於テ其ノ処分カ信託ノ本旨ニ反スルコトヲ知リタルトキ若ハ重大ナル過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキニ限ル
第三十二条
受益者数人アル場合ニ於テ其ノ一人カ前条ノ規定ニ依リテ為シタル取消ハ他ノ受益者ノ為ニ其ノ効力ヲ生ス
第三十三条
第三十一条ニ規定スル取消権ハ受益者又ハ信託管理人カ取消ノ原因アルコトヲ知リタル時ヨリ一月内ニ之ヲ行ハサルトキハ消滅ス処分ノ時ヨリ一年ヲ経過シタルトキ亦同シ
第三十四条
受託者タル法人カ其ノ任務ニ背キタルトキハ之ニ干与シタル理事又ハ之ニ準スヘキ者亦連帯シテ其ノ責ニ任ス
第三十五条
受託者ハ営業トシテ信託ノ引受ヲ為ス場合ヲ除クノ外特約アルニ非サレハ報酬ヲ受クルコトヲ得ス
第三十六条
受託者ハ信託財産ニ関シテ負担シタル租税、公課其ノ他ノ費用又ハ信託事務ヲ処理スル為自己ニ過失ナクシテ受ケタル損害ノ補償ニ付テハ信託財産ヲ売却シ他ノ権利者ニ先チテ其ノ権利ヲ行フコトヲ得
○2受託者ハ受益者ニ対シ前項ノ費用又ハ損害ニ付其ノ補償ヲ請求シ又ハ相当ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得但シ受益者カ不特定ナルトキ及未タ存在セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
○3前項ノ規定ハ受益者カ其ノ権利ヲ抛棄シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第三十七条
前条ノ規定ハ受託者カ信託財産ヨリ報酬ヲ受クヘキ場合ニ其ノ報酬ニ付之ヲ準用ス受託者カ受益者ヨリ報酬ヲ受クヘキ場合亦同シ
第三十八条
第三十六条又ハ前条ニ規定スル受託者ノ権利ハ受託者カ第二十七条又ハ第二十九条ノ規定ニ依ル損失ノ填補及信託財産復旧ノ義務ヲ履行シタル後ニ非サレハ之ヲ行フコトヲ得ス
第三十九条
受託者ハ帳簿ヲ備ヘ各信託ニ付其ノ事務ノ処理及計算ヲ明ニスルコトヲ要ス
○2受託者ハ信託引受ノ時及毎年一回一定ノ時期ニ於テ各信託ニ付財産目録ヲ作ルコトヲ要ス
第四十条
利害関係人ハ何時ニテモ前条ノ書類ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得
○2委託者、其ノ相続人及受益者ハ信託事務ノ処理ニ関スル書類ノ閲覧ヲ請求シ且信託事務ノ処理ニ付説明ヲ求ムルコトヲ得
第四十一条
信託事務ハ営業トシテ信託ノ引受ヲ為ス場合ヲ除クノ外裁判所ノ監督ニ属ス
○2裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ信託事務ノ処理ニ付検査ヲ為シ且検査役ヲ選任シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
第四十二条
受託者カ死亡シタルトキ又ハ破産手続開始ノ決定若ハ後見開始若ハ保佐開始ノ審判ヲ受ケタルトキハ其ノ任務ハ之ニ因リテ終了ス受託者タル法人カ解散シタルトキ亦同シ
○2前項ノ場合ニ於テハ受託者ノ相続人、其ノ法定代理人、破産管財人、後見人、保佐人又ハ清算人ハ新受託者カ信託事務ヲ処理スルコトヲ得ルニ至ル迄信託財産ヲ保管シ且信託事務ノ引継ニ必要ナル行為ヲ為スコトヲ要ス法人合併ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ設立シタル法人又ハ合併後存続スル法人亦同シ
第四十三条
受託者ハ信託行為ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外受益者及委託者ノ承諾アルニ非サレハ其ノ任務ヲ辞スルコトヲ得ス
第四十四条
信託行為ニ依リ特定ノ資格ニ基キ受託者ト為リタル者其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ其ノ任務ハ之ニ因リテ終了ス
第四十五条
第四十三条又ハ前条ノ規定ニ依リ任務終了シタル者ハ新受託者カ信託事務ヲ処理スルコトヲ得ルニ至ル迄仍受託者ノ権利義務ヲ有ス
第四十六条
已ムコトヲ得サル事由アルトキハ受託者ハ裁判所ノ許可ヲ受ケ其ノ任務ヲ辞スルコトヲ得
第四十七条
受託者カ其ノ任務ニ背キタルトキ其ノ他重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ委託者、其ノ相続人又ハ受益者ノ請求ニ因リ受託者ヲ解任スルコトヲ得
第四十八条
第四十六条又ハ前条ノ規定ニ依リ受託者其ノ任務ヲ辞シ又ハ解任セラレタルトキハ裁判所ハ信託財産ノ管理人ヲ選任シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
第四十九条
受託者ノ任務終了ノ場合ニ於テハ利害関係人ハ新受託者ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○2前項ノ規定ハ遺言ニ依リ受託者トシテ指定セラレタル者カ信託ノ引受ヲ為サス又ハ之ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス
○3前二項ノ規定ハ信託行為ニ別段ノ定アルトキハ之ヲ適用セス
○4第八条第三項ノ規定ハ受託者ニ付之ヲ準用ス
第五十条
受託者ノ更迭アリタルトキハ信託財産ハ前受託者ノ任務終了ノ時ニ於テ新受託者ニ譲渡サレタルモノト看做ス
○2受託者数人アル場合ニ於テ其ノ一人ノ任務終了シタルトキハ信託財産ハ当然他ノ受託者ニ帰ス
第五十一条
第二十七条又ハ第二十九条ニ規定スル権利ハ新受託者亦之ヲ行フコトヲ得
第五十二条
受託者ノ更迭アリタルトキハ新受託者ハ前受託者カ信託行為ニ因リ受益者ニ対シテ負担シタル債務ヲ承継ス
○2前項ノ規定ハ第五十条第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3信託事務ノ処理ニ付生シタル債権ハ信託財産ノ限度ニ於テ新受託者ニ対シテモ亦之ヲ行フコトヲ得
第五十三条
信託財産ニ対スル強制執行、仮差押若ハ仮処分ノ執行又ハ競売手続ハ新受託者ニ対シテ之ヲ続行スルコトヲ得
第五十四条
前受託者ハ第三十六条第一項ニ規定スル費用若ハ損害ノ補償ヲ受クル権利又ハ第三十七条ニ規定スル報酬ヲ受クル権利ニ基キ新受託者ニ対シ信託財産ニ付強制執行、仮差押若ハ仮処分ヲ為シ又ハ之ヲ競売スルコトヲ得
○2前受託者ハ前項ノ権利ヲ行フ為信託財産ヲ留置スルコトヲ得
第五十五条
受託者更迭ノ場合ニ於テハ信託事務ノ計算ヲ為シ受益者又ハ信託管理人ノ立会ヲ以テ事務ノ引継ヲ為スコトヲ要ス
○2受益者又ハ信託管理人カ前項ノ計算ヲ承認シタルトキハ前受託者ノ其ノ受益者ニ対スル引継ニ関スル責任ハ之ニ因リテ解除セラレタルモノト看做ス但シ不正ノ行為アリタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第五十六条
信託行為ヲ以テ定メタル事由発生シタルトキ又ハ信託ノ目的ヲ達シ若ハ達スルコト能ハサルニ至リタルトキハ信託ハ之ニ因リテ終了ス
第五十七条
委託者カ信託利益ノ全部ヲ享受スル場合ニ於テハ委託者又ハ其ノ相続人ハ何時ニテモ信託ヲ解除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民法第六百五十一条第二項ノ規定ヲ準用ス
第五十八条
前条ノ場合ヲ除クノ外受益者カ信託利益ノ全部ヲ享受スル場合ニ於テ信託財産ヲ以テスルニ非サレハ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルトキ其ノ他已ムコトヲ得サル事由アルトキハ裁判所ハ受益者又ハ利害関係人ノ請求ニ因リ信託ノ解除ヲ命スルコトヲ得
第五十九条
第五十七条及前条ノ規定ニ拘ラス信託ノ解除ニ関シ信託行為ニ別段ノ定アルトキハ其ノ定ニ従フ
第六十条
信託ノ解除ハ将来ニ向テノミ其ノ効力ヲ生ス
第六十一条
第五十七条又ハ第五十八条ノ規定ニ依リ信託カ解除セラレタルトキハ信託財産ハ受益者ニ帰属ス
第六十二条
信託終了ノ場合ニ於テ信託行為ニ定メタル信託財産ノ帰属権利者ナキトキハ其ノ信託財産ハ委託者又ハ其ノ相続人ニ帰属ス
第六十三条
信託終了ノ場合ニ於テ信託財産カ其ノ帰属権利者ニ移転スル迄ハ仍信託ハ存続スルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ帰属権利者ヲ受益者ト看做ス
第六十四条
第五十三条及第五十四条ノ規定ハ信託ノ終了ニ因リ信託財産カ受益者其ノ他ノ者ニ帰属シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十五条
信託終了ノ場合ニ於テハ受託者ハ信託事務ノ最終ノ計算ヲ為シ受益者ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第五十五条第二項ノ規定ヲ準用ス
第六十六条
祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其ノ他公益ヲ目的トスル信託ハ之ヲ公益信託トシ其ノ監督ニ付テハ後六条ノ規定ヲ適用ス
第六十七条
公益信託ハ主務官庁ノ監督ニ属ス
第六十八条
公益信託ノ引受ニ付テハ受託者ハ主務官庁ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
第六十九条
主務官庁ハ何時ニテモ公益信託事務ノ処理ニ付検査ヲ為シ且財産ノ供託其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
○2受託者ハ毎年一回一定ノ時期ニ於テ信託事務及財産ノ状況ヲ公告スルコトヲ要ス
第七十条
公益信託ニ付信託行為ノ当時予見スルコトヲ得サリシ特別ノ事情ヲ生シタルトキハ主務官庁ハ信託ノ本旨ニ反セサル限リ信託ノ条項ノ変更ヲ為スコトヲ得
第七十一条
公益信託ノ受託者ハ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ限リ主務官庁ノ許可ヲ受ケ其ノ任務ヲ辞スルコトヲ得
第七十二条
公益信託ニ付テハ第八条第一項第三項、第二十二条第一項但書及第四十七条乃至第四十九条ニ規定スル裁判所ノ権限ハ主務官庁ニ属ス但シ第四十七条及第四十九条ニ規定スル権限ニ付テハ職権ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得
第七十三条
公益信託終了ノ場合ニ於テ信託財産ノ帰属権利者ナキトキハ主務官庁ハ其ノ信託ノ本旨ニ従ヒ類似ノ目的ノ為ニ信託ヲ継続セシムルコトヲ得
第七十四条
本法ニ規定スル主務官庁ノ権限ハ政令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ国ニ所属スル行政庁ニ委任スルコトヲ得
第七十五条
本法ニ規定スル主務官庁ノ権限ニ属スル事務ハ政令ノ定ムル所ニ依リ都道府県ノ知事其ノ他ノ執行機関ニ於テ其ノ全部又ハ一部ヲ処理スルコトトスルコトヲ得
○2前項ノ場合ニ於テハ主務官庁ハ都道府県ノ執行機関ガ其ノ事務ヲ処理スルニ当リテ依ルベキ基準ヲ定ムルコトヲ得
○3主務官庁ガ前項ノ基準ヲ定メタルトキハ之ヲ告示スルコトヲ要ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則 (昭和二二年一二月二二日法律第二二三号) 抄
第二十九条
この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第三十条
昭和二十二年法律第七十四号(日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律)施行前に妻が夫の許可を受けないでした信託の引受はこれを取り消すことができない。
附則 (昭和五四年三月三〇日法律第五号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の施行の日(昭和五十五年十月一日)から施行する。
附則 (平成元年一二月二二日法律第九一号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成三年五月二一日法律第七九号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
五 第六条から第二十一条まで、第二十五条及び第三十四条並びに附則第八条から第十三条までの規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
附則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日
(国等の事務)
第百五十九条
この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条
施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(手数料に関する経過措置)
第百六十二条
施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第百六十三条
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2 附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
(検討)
第二百五十条
新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第二百五十一条
政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第二百五十二条
政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則 (平成一一年一二月八日法律第一五一号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
第四条
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成一三年一一月二八日法律第一二九号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
2 この法律の施行前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成一六年六月二日法律第七六号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、破産法(平成十六年法律第七十五号。次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。
(政令への委任)
第十四条
附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成一六年六月九日法律第八八号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第一条中社債等の振替に関する法律第四十八条の表第三十三条の項を削る改正規定、同表第八十九条第二項の項の次に第九十条第一項の項を加える改正規定、同法第百十五条、第百十八条、第百二十一条及び第百二十三条の改正規定、第百二十八条の改正規定(同条を第二百九十九条とする部分を除く。)、同法第六章の次に七章を加える改正規定(第百五十八条第二項(第二号から第四号までを除く。)、第三項及び第四項、第二百五十二条第一項(同項において準用する第百五十八条第二項(第二号から第四号までを除く。)、第三項及び第四項に係る部分に限る。)、第二百五十三条、第二百六十一条第一項(同項において準用する第百五十八条第二項(第二号から第四号までを除く。)、第三項及び第四項に係る部分に限る。)、第二百六十二条、第二百六十八条第一項(同項において準用する第百五十八条第二項(第二号から第四号までを除く。)、第三項及び第四項に係る部分に限る。)並びに第二百六十九条に係る部分に限る。)並びに同法附則第十九条の表の改正規定(「第百十一条第一項」を「第百十一条」に改める部分に限る。)、同法附則第三十三条の改正規定(「同法第二条第二項」を「投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項」に改める部分に限る。)、第二条の規定、第三条の規定(投資信託及び投資法人に関する法律第九条第三項の改正規定を除く。)、第四条から第七条までの規定、附則第三条から第二十九条まで、第三十四条(第一項を除く。)、第三十六条から第四十三条まで、第四十七条、第五十条及び第五十一条の規定、附則第五十九条中協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第四条の四第一項第三号の改正規定、附則第七十条、第八十五条、第八十六条、第九十五条及び第百九条の規定、附則第百十二条中金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)第百二十六条の改正規定、附則第百二十条から第百二十二条までの規定、附則第百二十三条中産業活力再生特別措置法(平成十一年法律第百三十一号)第十二条の八第三項及び第十二条の十一第七項の改正規定、附則第百二十五条の規定並びに附則第百二十九条中会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二百五条第四項及び第二百十四条の改正規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「一部施行日」という。)から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第百三十五条
この法律の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百三十六条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第百三十七条
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律による改正後の株式等の取引に係る決済制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則 (平成一八年一二月一五日法律第一〇九号)
この法律は、新◆信託法◆の施行の日から施行する。
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