前回ご紹介したローソク足陰陽の組み合わせですが、 ものすごくタイミング良く、書いた翌日にドル円で宵の明星が示現。
そのサイン通りにドル円は大暴落しました。
偶然かもしれませんが、非常に興味深い現象です。
さて、今回は酒田五法をご紹介します。
■酒田五法 概論
酒田五法とは、山形県庄内酒田出身の本邦テクニカル分析の元祖本間宗久翁を源流とする、 ローソク足型解析の技術体系をいいます。
希代の天才相場師本間宗久は、18世紀の米相場で巨富を得ましたが、その成功の秘訣が彼独特のテクニカル分析だったと言われています。
その手法を伝承した相場師らがまとめたのが、現代に伝わる酒田五法と言われます。
酒田五法は、
【1】 三山
【2】 三川
【3】 三空
【4】 三兵
【5】 三法
の五類型で構成されると言われます。(通説)
■酒田五法 各論
【1】 三山
■定義
三山とは、底値から上伸-下押し、或いは高値から下落-戻しの波乱を三度繰り返す、長期的な波動の類型を言います。
(天井構成パターンを三山、逆に大底形成パターンを三川と解する説もあります。)
■解釈
高値圏に「上伸-下押し」の三波動示現→天井パターン
安値圏に「下落-戻し」三波動示現→大底パターン
■類型
ⅰ 三尊
ⅰ-1 三尊天井
欧米ではヘッド・アンド・ショルダー(頭と肩)と呼ばれる天井パターンです。
四時間足でもしばしば見る型です。
ⅰ-2 逆三尊
三尊天井をひっくり返したものが逆三尊です。
逆三尊を三川に分類する学説もあるようですが(三山を天井、三川を大底のパターンと解する説)、
本稿では、「三川とは三本の線で構成される型」と解する説を採り、逆三尊は三山の類型とします。
ⅱ 三段
ⅱ-1 三段上げ
三段上昇の後、暴落。
エリオット波動論の上昇五波も、三段上げを基本的な類型とします。
ⅱ-2 三段下げ
三段上げの逆。
【2】 三川
■定義
三川とは、一般的に三本の線から相場の転換期をとらえるものです。
(三山の逆が三川であるとする説もあります。例えば逆三尊など。)
■類型
ⅰ 三川宵の明星、三川宵の十字星、三川宵の流れ星
大陽線を上放れて小線が示現(星)、その後下放れて大陰線となった型を「宵の~」と表現します。
これから下落トレンド、夜の時代に入ることを暗示します。
特に小線が十字線(同事線)になったものを「宵の十字星」、
小線が上ヒゲのトンカチになったものを「宵の流れ星」といいます。
(※なお、宵の十字星と似ているのですが、相場の高値圏で上放れ同事線が出て、その次の線が下に窓を開けた陰線(又は陽線)となった場合、上放れ同事線を(弱気の)捨て子線といい、暴落の兆しと言われます。安値圏でこの逆のパターンとなった場合も、同様の同事線を(強気の)捨て子線と言い、 底打ち反転のサインとなります(明けの明星と同じ)。)
天井パターンです。
ⅱ 三川明けの明星
大陰線を下放れして小線が示現、その後上放れて大陽線が出現した型を明けの明星といいます。
長い下落トレンド、暗い夜の時代の終わりを告げる、希望の星とされます。
大底パターンです。
ⅲ 三川上放れ二羽烏
大陽線の後、上放れて小陰線が二本連続で示現した型。
売りサインです。
ⅳ 変形三川底
買いサインとされます。(信頼性の程度は不明)
【3】 三空
■定義
三空とは相場の形成過程で3つの空(窓)ができるパターンです。
上昇トレンドで、3つの窓をあけながら4本の大陽線を示現する型を「三空踏み上げ」、
下落トレンドで、3つの窓をあけながら4本の大陰線を示現する型を「三空叩き込み」といいます。
■解釈
酒田五法では、三空は相場の行き過ぎだから、あえて逆張りせよと説かれます。
「三空踏み上げに売り向かえ」
「三空叩き込みに買い向かえ」
と言われます。
■実例
「米相場ならまだしも、完璧な流動性を誇る為替市場で、こんなの100%絶対あり得ないって。(苦笑)」
「こんなもん現代では通用するわけないだろ。オカルトじゃん。馬鹿馬鹿しい。(失笑)」
と思う方も多いと思いますが、2006年4月、週末のG7明けからドル円三空叩き込み相場が始まりました。
これは合成画像ではなく、実際のドル円チャートです。
三空 叩き込みの後、買い向かい→切り込み線となり、トレンドが転換しました。完璧です。
私も正直言うと、この三空叩き込み相場を見るまでは、為替に三空がどうの、切り込み線がこうのとか関係ないと思っていました。
ローソク足分析?何それ?そんなの意味あるの?と思っていました。
しかし、この超弩級の大相場を見てから、古典的なテクニカル分析も馬鹿にできないと思ったのです。
【4】 三兵
■定義
三兵とは、陽なら陽、陰なら陰が3本平行して同一方向に向かっている場合をいいます。
■類型
ⅰ 赤三兵
高寄りはしないが着実にジリ高となる陽線の三本連続を赤三兵といいます。
赤三兵は大きな上げ相場の前兆、
上影を引いている赤三兵先詰まりは、上昇力の鈍ってきた証拠、
三線目が小陽線のコマとなる赤三兵思案星は、転換時期が近いとされます。
ⅱ 黒三兵
安寄りはしないが着実にジリ安となる陰線の三本連続を黒三兵といいます。
坊主陰線(ヒゲがない陰線)が三連続示現したものを坊主三羽、
大引値と翌日寄付き値が同じ形で坊主陰線が三本続いているものを同時三羽といいます。
下落トレンド継続と見ます。
【5】 三法
■定義
三法は、おそらく一番解釈が分かれているもので、いろんな説があるようです。代表的な説としては、
学説1 三法とは、具体的な足型を類型化したものではなく、「売るべし、買うべし、休むべし」の心構えをいうとする説。 (訓話説)
学説2 三法とは、「上げ三法」、「下げ三法」、「上放れ三法」等の足型を総称するものであるとする説。(足型説)
上げ三法などの類型をご紹介しても良いのですが、やや妥当性に欠けるあまり意味のない類型のようにも思います。
というわけで、本稿では、第1説 「売るべし、買うべし、休むべし」 の心構えを三法とする説を採りたいと思います。
強気相場が永遠に上昇を続けるわけがないのと同じで、投機で永遠に勝ち続けることは不可能です。
リバモア、バフェット、ロジャーズ、等々、欧米の投機王たちも皆口をそろえて言っていますが、
チャンスが来るまでじっと待つ、
待つも相場、
これが肝要かと思います。
そして酒田五法的な「チャンス」とは、
三山、三川などの典型的パターンが示現するのをじっと待つ、という事に他なりません。
■ローソク足分析シリーズ